固定費が入っている販管費で限界利益率を計算する?

 

さて、本日は土曜日。

タイナーズは通常営業ですが、平日に比べてググッと依頼者様からのご連絡は少ない日です。

 

そんな中、今日は朝から、工業用製品を取り扱う企業の経営戦略について、翻訳原稿を精査していました。

 

原稿を見ている中で、あっ、これおもしろい話かもというのをお伝えしたいと思います。

 

 

皆さん「限界利益率」ってわかりますか?

 

簿記(会計)の世界のお話です。

 

限界利益(marginal profit)というのは、売上(sales revenue)から変動費(variable cost)を差し引いたものになります。固定費(fixed cost)は入ったまんまです

限界利益率(marginal profit ratio)というのは、この限界利益を売上で割ったものになります。

 

で、変動費というのは生産や販売の増減によって変動する費用のことを言います。

生産や販売の量が増えればこの費用も増え、反対に生産や販売の量が減ればこの費用は減ります。

 

いっぽう、固定費というのは、生産や販売の増減によって変動せずに、毎年かならず必要になる費用のことをいいます。

 

 

これを式で表わすとこんな感じです。

 

限界利益(marginal profit)=売上(sales revenue)-変動費(variable cost

限界利益率(marginal profit ratio)=限界利益(marginal profit)÷売上(sales revenue

 

つまり、限界利益率とは、ある製品を製造・販売した場合、利益の率はこれだけですよというのを示す数字になります。

marginal(限界ギリギリの)profit(利益)、という英語を見てわかるように、要は製品ひとつ販売したらこの利益ですよと、パーセンテージはこんな感じですよということですね。

 

 

で、今回の翻訳原稿の原文に、

 

「販管費を大きく削減して、限界利益率を跳ね上げる」

 

という主旨の内容がありました。

 

販管費というのは、販売費および一般管理費(selling, general and administrative expenses)の略で、これは製品を作るために直接かかった費用以外の費用のことをいいます。

 

まあ、もろもろの経費と思っていただいて間違いありません。

 

 

ここからが本題です。

 

調べてみると、販売費および一般管理費は、そのほとんどが変動費なのですが、そのなかでビルの家賃だとか人件費などの、固定費のようなものが含まれているようなんです。

 

ビルの家賃ってのは、毎月固定ですので、これは固定費で間違いないだろうと。

で、人件費については、もしかしたら残業代とか遅くまで仕事をしたときのタクシー代(いまどきそんなのあるのかな??)はそのときどきで変動しますし、ボーナスなんかは業績によって金額の大小が異なりますので変動費のような気がしますが、でも基本給(固定給)はそうそう変わるわけではありませんので、固定費ではないのかと思うわけです。

 

この辺はですね、会計の専門家に聞いてみるとして、まあ固定されている意味では、家賃も人件費の中の基本給も固定費だと思われ、これらは販管費に入っているわけですね。

 

そうなると、

 

「販管費を大きく削減して、限界利益率を跳ね上げる」

 

というのは、厳密には、

 

「変動費を削減して、限界利益率を跳ね上げる」

 

のほうが正しい気がしますね。

 

この辺はどうなんでしょうね。

翻訳の範疇ではなく、なんだか大原簿記専門学校の授業のようなお話でした。

 

 

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