論文要旨の英語 単語数を減らすテクニック

論文の要旨(アブストラクト)の英語には単語数制限が設けられている場合があります。250ワード以内、300ワード以内など、上限は雑誌によって異なります。

日本語の要旨を英訳したら、指定の単語数をオーバーしてしまった—そんな経験はないでしょうか。

内容を削る前に、まず英語表現の工夫で対応できないか検討する価値があります。意味を変えずに単語数を減らせるテクニックは、意外とたくさんあります。

この記事では、論文要旨の単語数を減らすための具体的なテクニックを紹介します。

1. 冗長な前置詞句・接続表現を短縮する

学術英語では、丁寧さや正確さを意識するあまり、冗長な表現を使いがちです。しかし、これらは短い表現に置き換えられることが多く、単語数の削減に直結します。

冗長な表現 短縮例 削減数
in order to to 2語減
for the purpose of to / for 3語減
due to the fact that because / since 4語減
in spite of the fact that although / despite 5語減
at the present time now / currently 3語減
in the event that if 3語減
with regard to / with respect to about / regarding / on 2〜3語減
in the case of in / for / when 3語減
on the basis of based on / from 3語減

たとえば、”in order to investigate” は “to investigate” で十分です。意味は変わらず、2語削減できます。

2. 冗長な数量・程度表現を簡潔にする

数量や程度を表す表現も、簡潔な語に置き換えられる場合が多いです。

冗長な表現 短縮例 削減数
a number of several / many / some 2語減
a large number of many 3語減
a small number of few / some 3語減
the majority of most 2語減
a significant amount of much / considerable 3語減
in a significant manner significantly 3語減
to a great extent largely / greatly 3語減

“A large number of participants” は “Many participants” と書けば、3語減らせます。

3. 不要な修飾語・強調語を削る

強調のつもりで入れた副詞や形容詞が、実際には意味に貢献していないことがあります。削除しても文意が変わらないなら、思い切って削りましょう。

削除を検討できる語の例

  • very, extremely, highly, quite, rather
  • basically, essentially, actually, really
  • certainly, definitely, clearly(文脈による)

書き換えの例

冗長な表現 修正例
very important important(または crucial / essential)
extremely significant significant
quite clearly clearly
It is important to note that X… X…(前置きを削除)

“It is important to note that” のような前置きは、削除して本題から始めるほうが簡潔です。

4. 名詞化表現を動詞に戻す

学術英語では、動詞を名詞化(nominalization)して使う傾向があります。格調高く見える一方、単語数が増えがちです。動詞に戻すと、文が簡潔になります。

名詞化表現 動詞表現 削減数
make an examination of examine 3語減
conduct an investigation of investigate 3語減
perform an analysis of analyze 3語減
provide a description of describe 3語減
carry out an evaluation of evaluate 4語減
give consideration to consider 2語減
reach a conclusion that conclude that 2語減

“We conducted an investigation of the effects” は “We investigated the effects” と書き換えられます。

5. There is / It is 構文を避ける

“There is / There are” や “It is … that” 構文は便利ですが、単語数を増やしがちです。主語を明確にして書き換えると、短くなることが多いです。

冗長な構文 書き換え例
There are many studies that show… Many studies show…
It is known that X causes Y. X causes Y. / X is known to cause Y.
It was found that the results improved. The results improved.
There is a need for further research. Further research is needed.

“There are several factors that influence…” は “Several factors influence…” とすれば、2語減らせます。

6. 重複表現を削る

同じ意味の語が重なっている表現(redundancy)も、見直しの対象です。

重複表現 修正例
past history history
future plans plans
end result result
basic fundamentals fundamentals / basics
combine together combine
completely eliminate eliminate
each and every each / every
first and foremost first

これらは1語削るだけですが、積み重なると大きな差になります。

7. 受動態と能動態を使い分ける

学術論文では受動態がよく使われますが、能動態に書き換えたほうが短くなる場合があります。

能動態にすると短くなる例

受動態 能動態
The experiment was conducted by the researchers. The researchers conducted the experiment.
It was observed that X increased. We observed that X increased. / X increased.

受動態で “by ~” を省略できる例

逆に、行為者を示す必要がない場合は、受動態のまま “by ~” を省略することで短くできます。

冗長な表現 修正例
The data were analyzed by using SPSS. The data were analyzed using SPSS.
The samples were collected by the team. The samples were collected.(行為者が自明な場合)

文脈に応じて、どちらが適切か判断しましょう。

8. 実践:どのくらい削減できるか

ここまで紹介したテクニックを組み合わせると、どのくらい単語数を減らせるのでしょうか。具体例で見てみましょう。

Before(44語)

In order to investigate the effect of X on Y, a large number of experiments were conducted by the researchers. Due to the fact that the results showed a significant improvement, it can be concluded that X is effective.

After(25語)

To investigate X’s effect on Y, the researchers conducted many experiments. Because the results showed significant improvement, X is effective.

適用したテクニック

  • in order to → to(2語減)
  • a large number of → many(3語減)
  • were conducted by the researchers → the researchers conducted(受動態→能動態)
  • Due to the fact that → Because(4語減)
  • it can be concluded that → 削除して直接結論(4語減)
  • a significant improvement → significant improvement(冠詞削除、1語減)

結果:44語 → 25語(19語削減)

意味は変わらず、約4割の削減ができました。

まとめ

論文要旨の単語数がオーバーしてしまったら、まず英語表現の調整で対応できないか検討しましょう。

  • 冗長な前置詞句・接続表現を短縮する
  • 数量・程度表現を簡潔にする
  • 不要な修飾語・強調語を削る
  • 名詞化表現を動詞に戻す
  • There is / It is 構文を避ける
  • 重複表現を削る
  • 受動態と能動態を使い分ける

これらを意識するだけで、内容を削らずにかなりの単語数を削減できます。

それでも指定の単語数に収まらない場合は、日本語の要旨に立ち戻り、内容の優先順位を見直しましょう。

関連記事:論文要旨 英語での書き方

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論文要旨 英語での書き方

論文を国際誌に投稿する際、英語の要旨(アブストラクト)の提出を求められることがほとんどです。

「英語で要旨を書かなければ」と構えてしまう方も多いのですが、実は発想を変えると楽になります。英語の要旨は「英語で書く」のではなく、「完成した日本語の要旨を翻訳する」ことで出来上がるものです。

この記事では、要旨作成から英訳までの流れと、見落としがちな注意点を解説します。

1. まず日本語の論文要旨を作成する

英語の要旨を準備する前に、まずは日本語の要旨を完成させましょう。

要旨とは、文字通り「論文の要約」です。したがって、要旨を書くためには、論文の内容がある程度固まっている必要があります。

ここで「ある程度」と書いたのには理由があります。研究者によって、要旨を作るタイミングは異なるからです。

  • 論文をほぼ書き上げてから、最後に要旨をまとめる方
  • 先に構成と主張を固め、要旨を作成してから論文本体を書き進める方

どちらのアプローチでも構いません。大切なのは、「要旨は論文の要約である」という原則を念頭に置いておくことです。要旨だけが独り歩きしてしまうと、論文本体との整合性が取れなくなります。

なお、日本語の要旨に盛り込む要素は、一般的に以下のとおりです(分野によって多少異なります)。

  • 研究の背景・目的
  • 方法
  • 結果
  • 考察・結論

医学系や理工系ではIMRAD形式(Introduction, Methods, Results, and Discussion)に沿った構成が求められることも多いので、投稿先のガイドラインを事前に確認しておきましょう。

2. 日本語の要旨を英訳する

日本語の要旨が完成したら、それを英訳します。

ここで強調しておきたいのは、「英語の要旨を一から作る」のではなく、「完成した日本語の要旨を翻訳する」という考え方です。

英語で一から書こうとすると、構成がぶれやすく、結果的に論文本体との整合性も取りにくくなります。また、日本語で論理を整理してから英訳するほうが、表現も明確になりやすいです。

英訳の際には、以下の点を意識するとよいでしょう。

  • 簡潔で明確な表現を心がける
  • 時制の使い方(方法・結果は過去形、一般的な事実や結論は現在形など)
  • 受動態と能動態の使い分け
  • 分野特有の用語や表現への配慮

ご自身で英訳される場合は、同じ分野の英語論文をいくつか読み、よく使われる表現やフレーズを参考にするのも有効です。

3. 単語数の調整が重要

英語の要旨を準備するうえで、意外と見落とされがちなのが「単語数」です。

投稿先の雑誌によっては、要旨の単語数が厳密に決められています。250ワード以内、300ワード以内など、上限が設定されていることが多いです。

では、日本語の要旨を英訳すると、どのくらいの単語数になるのでしょうか。

目安として、日本語600文字で英語280単語ほどになります。もちろん、これは概算であり、表現の仕方によって日本語も英語も分量は変わります。ただ、ひとつの参考値として覚えておくと便利です。

もし指定の単語数をオーバーしてしまった場合は、以下の順序で対処するのがおすすめです。

(1)まず英語表現の調整で対応できないか探る

冗長な表現を削る、より簡潔な語彙に置き換えるなど、英語側の工夫で単語数を減らせないか検討します。たとえば、”in order to” を “to” に置き換える、”a number of” を “several” や “many” にするなど、細かい調整で数ワード削れることがあります。

(2)それでも収まらない場合は、日本語の要旨を短縮する

英語表現の調整だけでは限界がある場合、内容そのものを縮小する必要があります。この場合は、日本語の要旨に立ち戻り、優先順位の低い情報を削ります。英訳後に内容を削ると、論理の流れが崩れやすいので、日本語の段階で調整するのがポイントです。

4. 翻訳を外注する場合のポイント

要旨の英訳は、ご自身で行うことも可能ですが、専門の翻訳サービスを利用するのも一案です。特に、投稿先の査読を通過するためには、正確で自然な英語表現が求められます。

翻訳を外注する際には、以下の点を確認しておくとスムーズです。

  • 専門分野に精通した翻訳者が担当するか
  • ネイティブチェックが含まれているか
  • 単語数制限への対応が可能か
  • キーワードの指定ができるか
  • 論文本体を参考資料として共有できるか

当社でも、研究者や大学院生の方から要旨(アブストラクト)の英訳をお受けしています。内容を深く理解したうえで翻訳に取り組み、単語数の調整にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

要旨(アブストラクト)英訳サービスはこちら

まとめ

論文要旨の英訳は、「日本語の要旨を完成させてから翻訳する」のが基本です。

  • まず日本語で論理を整理し、要旨を仕上げる
  • 完成した日本語の要旨を英訳する
  • 単語数制限を意識し、オーバーしたらまず英語表現で調整、それでも無理なら日本語を短縮

このステップを押さえておけば、英語の要旨作成も効率よく進められるはずです。

困ったときは、専門の翻訳サービスを活用することも検討してみてください。

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戸籍謄本の英訳、自分でやってみた結果

戸籍謄本の英訳が必要になったとき、「英語がそこそこできるなら、自分で訳せるんじゃないか?」と考える方は少なくありません。

翻訳会社に頼めばお金がかかるし、できることなら自分でやりたい。その気持ちはよく分かります。

ただ、実際にやってみると、英語力とは関係ないところで思わぬ壁にぶつかります。ここでは、戸籍謄本を自分で英訳しようとすると何が起きるのか、順を追ってお話しします。

まず戸籍謄本を広げてみると

英訳しようと思い立ち、まず原本を広げてみます。

すると、日本語で読んでも独特な書式だということに気づきます。複数の枠線で区切られた横書きのレイアウト、「戸籍事項」「身分事項」「従前戸籍」といった見慣れない項目名。普段の生活では目にすることのない書式です。

そもそも日本語としての理解にも少し時間がかかります。ここから英語にするとなると、「どこから手をつければいいんだろう」と手が止まってしまう方が多いようです。

専門用語という壁

戸籍謄本には、日常の英語ではまず出てこない概念や用語がたくさん登場します。

たとえば、「戸籍事項」「身分事項」「改製事由」「従前戸籍」「続柄」──こうした項目名を英語でどう表すか、すぐに答えられる方はあまりいないのではないでしょうか。

さらに厄介なのが、法令の引用文です。戸籍謄本には「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」のような記載が出てくることがあります。これをどう英訳するかは、英語が得意なだけでは判断がつきません。

多くの方がまず試すのは、ChatGPTやDeepLなどのAI翻訳に文面を入力してみることだと思います。ところが、戸籍謄本のような書類の場合、ツールによって出てくる訳語がバラバラです。ChatGPTではこう出る、DeepLでは別の訳になる、Google翻訳ではまた違う。ネット上のブログや掲示板を調べても、書いている人によって訳語が異なります。

ここで困るのは、どれが「正しい」のか、自分では判断がつかないということです。戸籍翻訳に慣れていないと、「たぶんこれでいいだろう」という不安を抱えたまま作業を進めることになります。

フォーマットをどうするか

訳語の問題をなんとか乗り越えたとしても、次に出てくるのがフォーマットの問題です。

原本の戸籍謄本は、枠線や記載欄で構成された独自のレイアウトになっています。英訳するとき、このレイアウトはどこまで再現すべきなのか。Wordで作ればいいのか、Excelで表にしたほうがいいのか。それとも、レイアウトは気にせずテキストだけ訳せばいいのか。

このあたり、提出先によって求められる形式が違いますし、明確な指示がないことも珍しくありません。苦労してレイアウトを再現しても、「形式が合っていません」と言われる可能性があるのは、なかなかつらいところです。

翻訳証明書という壁

専門用語をなんとか訳し、フォーマットもそれなりに整えて、いざ提出。

ところがここで、「翻訳証明書を添付してください」と言われることがあります。

翻訳証明書というのは、「この翻訳は正確で、原文に忠実です」ということを翻訳者または翻訳会社が証明する書類です。ビザ申請や海外の公的機関への提出では、この翻訳証明書の添付を求められるケースが多くあります。

そして、自分で訳した場合、翻訳証明書は発行できません。加えて、多くの提出先では「第三者による翻訳」が要件になっているため、本人が訳したものはそもそも受け付けてもらえないことがあります。

この段階で初めて「第三者翻訳」の要件を知る方は、実は少なくありません。時間をかけて仕上げた翻訳が、制度上の理由で使えないと分かったときのショックは大きいものです。

結局やり直しになるパターン

当社にも、こうしたご相談が寄せられることがあります。

  • 自分で訳して提出したが、「本人訳は不可」と差し戻された
  • 翻訳証明書がないため受理されず、やり直しになった
  • 期限が迫っていて急ぎの依頼になり、割増料金がかかった

こうなると、自分で訳すために使った時間が無駄になるだけでなく、翻訳会社への依頼費用も改めて発生します。ビザ申請のように提出期限が決まっている手続きでは、スケジュールへの影響も深刻です。

「最初からプロに頼んでおけばよかった」という声は、正直なところよくいただきます。

自分で訳してもいいケース

とはいえ、すべてのケースで「自分で訳してはいけない」というわけではありません。

たとえば、公的な提出が目的ではなく、書かれている内容を自分で把握しておきたいだけという場合。あるいは、提出先が翻訳証明書を求めていない場合(稀ですが、ないわけではありません)。こうしたケースであれば、自分で訳すことに問題はありません。

ただ、ビザ申請や海外の公的機関への提出となると、翻訳証明書や第三者翻訳の要件が絡んでくるため、自分で訳すという選択肢は現実的ではなくなります。

まとめ

戸籍謄本の英訳を自分でやろうとすると、ぶつかるのは英語力の問題ではありません。専門用語フォーマット、そして翻訳証明書という3つの壁です。

とくに翻訳証明書と第三者翻訳の要件は、英語がどれだけ得意であっても自力では超えられない、制度上のハードルです。

ビザ申請や海外への提出が目的であれば、最初から翻訳会社に依頼するほうが、時間的にも費用的にも結局は近道です。

依頼先をどう選べばよいか(翻訳会社・知人・行政書士の比較)については、下記の記事で詳しくまとめています。

→ 戸籍謄本 英訳 どこでやってもらう?

当社の戸籍謄本 英訳サービスについては、こちらをご覧ください。

→ 戸籍謄本の英訳サービスはこちら

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戸籍謄本の英訳に公証やアポスティーユが必要になるケース

戸籍謄本の英訳を外国の機関に提出しようとすると、「公証が必要です」「アポスティーユを付けてください」と言われることがあります。
いざそう言われると、何をどこに持っていけばいいのか、戸惑う方も多いと思います。

この記事では、どういった場合に公証やアポスティーユが求められるのかを整理してみます。

そもそも、なぜ「認証」が必要になるのか

戸籍謄本は市区町村が発行する公的な文書ですが、その英訳は翻訳会社や個人が作成した「私文書」です。
私文書は誰でも作れるため、提出先の機関から見ると「本当にこの内容で作られたものなのか」「改ざんされていないか」が確認できません。

そこで、一定の手続きを経て文書の真正性を担保する必要が生じます。それが公証やアポスティーユです。

つまり、「誰が作ったか、改ざんされていないか、ということを提出先が確認したい場合」に、英訳への公証やアポスティーユが求められます。

公証とアポスティーユ—何がどう違うのか

公証(notarization)は、公証役場の公証人が行う認証手続きです。
翻訳者が署名した翻訳文書や、翻訳に関する証明書について、公証人がその署名の真正性を認証します。
これにより、私文書が「公証人の認証を受けた文書」として扱われるようになります。
公証手続きの具体的な流れについては、戸籍謄本 英語に翻訳から公証まで カナダ編で実例を交えて解説しています。

アポスティーユ(apostille)は、1961年のハーグ条約に基づく認証制度です。
外務省がその文書にアポスティーユを付与することで、条約の締約国間で広く通用する形式の証明が得られます。
アポスティーユの仕組みや必要な国・不要な国については、アポスティーユとは?必要な国・不要な国をわかりやすく解説で詳しくまとめています。

アポスティーユは「公文書」を対象とする枠組みですので、市区町村が発行した戸籍謄本(原本)であれば、公証役場を経由せず直接外務省にアポスティーユの付与を申請できます。
一方、翻訳文はそのままでは私文書ですから、翻訳文そのものに対してアポスティーユ相当の担保が求められる場合には、まず公証役場で認証を受けて「公証人が認証した文書」の状態にした上で、外務省への申請に進むという流れになります。

提出先の国がハーグ条約の締約国であれば、基本的にはアポスティーユのルートが使えます。
締約国でない場合は、外務省による公印確認を経て、相手国の在日大使館・領事館による領事認証が必要になります。

ただし、締約国であっても提出先の機関(特に民間の金融機関や大学など)によっては独自の要件を設けていることがあるため、事前に提出先へ確認することが大切です。

必要になりやすい場面

どういったケースで公証やアポスティーユが求められるのか、代表的な場面をご紹介します。
ただし、必ず必要かどうかは提出先の当局や機関が決めることです。以下はあくまでも「求められやすい場面」の整理であり、必要性の最終確認は提出先に直接行ってください。

海外での婚姻手続き・婚姻登録

外国で婚姻の届出をする際に、相手国の役所が婚姻要件の確認や身分事項の登録のために戸籍の内容を求めることがあります。
この場合、英訳に加えて公証やアポスティーユがセットで求められるケースがよくあります。
なお、日本には「婚姻証明書」という書類がないため、戸籍謄本や婚姻受理証明書で代用することになります。詳しくは婚姻受理証明書(翻訳)の代わりになる戸籍謄本をご覧ください。

移民・在留資格・永住・国籍取得

海外に移住する、配偶者や家族を帯同して在留資格を得るといった手続きでは、親子関係・婚姻・離婚・死亡などの身分関係を厳格に証明するよう求められます。
このような場面では翻訳文にも「認証済み」の担保が要求されることがあります。

出生登録・認知・養子縁組

子の国籍・親権・扶養関係に直結する手続きでは、役所側が書類の形式要件を厳しく求めることがあり、翻訳文への公証やリーガリゼーション(認証の連鎖)が条件となりやすい場面です。

海外の相続・金融機関での名義手続き

海外に資産があり、相続や名義変更が発生する場合、外国の裁判所・金融機関・公証役場などが相続人の続柄を確認するために戸籍を求めることがあります。
書類一式の真正性を確認する運用を取っている機関では、翻訳文への認証も求められます。

海外の裁判所・行政機関への証拠提出

国際的な訴訟や行政手続きで戸籍の内容が必要になる場合、裁判所・官庁が「認証済み翻訳」を要求することがあります。
形式要件が明文化されているケースもあります。

日本の翻訳者制度について

日本には、国が認定する翻訳者の資格制度(いわゆる「認定翻訳者」制度)がありません。
そのため、外国の手続きで「資格ある翻訳者による翻訳」が要件とされていても、日本国内でその要件を満たす翻訳者を探すのは現実的に難しいのが実情です。

なお、英国のCIOLや米国のATAといった海外の翻訳資格を持つ翻訳者が日本在住で活動しているケースはありますが、戸籍謄本の英訳を依頼したい方がそうした翻訳者を自力で探し当てるのは容易ではありません。

実務上は、翻訳会社が翻訳証明を付けることで手続きが進むケースが多くあります。
ただし、国や機関によって要件は異なりますので、翻訳証明の形式や内容についても、提出先に確認しておくのが確実です。

まとめ

公証やアポスティーユが必要かどうか、またどのような形式が求められるかは、すべて提出先の当局や機関の要件によって決まります。
「アポスティーユが必要と聞いた」「公証だけでいいと聞いた」という情報も、状況によって異なることがあります。

手続きを始める前に、提出先に「戸籍謄本の英訳について、どのような認証が必要か」を具体的に確認することが、遠回りのようで最も確実な方法です。

戸籍謄本の英訳についてのご相談は、タイナーズの戸籍謄本英訳サービスまでお気軽にどうぞ。

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契約書をAIで翻訳するリスクとは?自社翻訳が危険な理由

ChatGPTやClaudeなどの生成AI、DeepLなどのAI翻訳ツールの普及により、契約書を自社でAI翻訳するという選択肢が出てきました。

AI翻訳の出力をそのまま使えば、確かにコストはかかりません。しかし、契約書でそれは現実的でしょうか。この記事では、契約書をAIで翻訳することのリスクと、なぜプロに依頼すべきかを解説します。

契約書のAI翻訳という選択肢

生成AIやAI翻訳ツールは急速に進化しており、一般的な文書であれば実用的な翻訳ができるようになってきました。無料または低コストで使えるため、翻訳コストを削減したいという考えは自然なことです。

しかし、AI翻訳の出力をそのまま契約書として使う企業はほとんどありません。なぜなら、誤訳があったときのリスクが大きすぎるからです。

結局、AI翻訳を使う場合でも、社内の担当者が内容を確認し、必要に応じて修正する工程が発生します。担当者の人件費と時間コストを考えると、本当に安いのでしょうか。

AI翻訳が契約書に不十分な理由

AI翻訳が契約書に向かない理由は、大きく3つあります。

法律用語の誤訳リスク

法律用語には、一般的な意味と法的な意味が異なるものが多くあります。

たとえば、英語の「shall」は一般的には「〜するつもりだ」という意味ですが、契約書では「〜しなければならない」という義務を表します。この違いを正しく訳し分けられなければ、契約内容が根本的に変わってしまいます。

また、「indemnify(補償する)」「warrant(保証する)」「represent(表明する)」など、日本語では似たような意味に見えても、法的には明確に区別される用語があります。AI翻訳はこうした法律用語の微妙なニュアンスを正確に訳し分けることが難しいのです。

契約書における法律用語の重要性については、「英文契約書と準拠法条項」でも触れています。

文脈・背景を理解できない

契約書の翻訳で最も重要なのは、文脈と背景を正しく理解することです。ここがAI翻訳の最大の弱点です。

契約書は、当事者間の権利と義務を定めた文書です。どちらが義務を負うのか、どちらが権利を持つのか、それを正確に読み取らなければ、正しい翻訳はできません。

たとえば、ある条項に「甲は〜するものとする」と書かれていても、その「甲」が売主なのか買主なのか、ライセンサーなのかライセンシーなのかによって、英訳の表現は変わります。契約書の冒頭で定義された当事者の関係を理解し、全体の構成を把握した上で、各条項を訳す必要があります。

また、契約書には「前条に定める場合を除き」「第○条に基づき」といった、他の条項を参照する表現が頻繁に出てきます。AI翻訳は一文ずつ処理するため、こうした契約全体の構成を踏まえた翻訳が苦手です。

私たちが翻訳する際は、まず契約書全体を読み、当事者の関係性、契約の目的、各条項の役割を把握してから、翻訳に取りかかります。一文だけを見て正しく訳すことは、人間の翻訳者でも難しいのです。

日本語の契約書自体の正確性についても、「日本語の契約書はそもそも正しいですか?」で解説しています。

一貫性が保たれない

契約書では、同じ用語は同じ訳語で統一することが鉄則です。たとえば、「本契約」を「this Agreement」と訳したなら、契約書全体を通じて「this Agreement」で統一しなければなりません。

しかし、AI翻訳は文脈によって異なる訳語を選ぶことがあります。「this Agreement」「this Contract」「the Agreement」などが混在すると、法的には別のものを指している可能性が生じ、契約の解釈に混乱をきたします。

「1組」という言葉を「pair」と訳すか「set」と訳すかなど、細かい用語の選択も重要です。詳しくは「1組は「Pair」か「Set」か」をご覧ください。

AI翻訳が引き起こしうるトラブル

AI翻訳による誤訳は、以下のようなトラブルにつながる可能性があります。

契約解釈の相違:日本語版と英語版で内容が異なると、契約当事者間で解釈の相違が生じます。「そんなつもりではなかった」という事態になりかねません。

取引先との信頼関係の悪化:不正確な翻訳や不自然な表現は、相手方に「この会社は大丈夫か」という不信感を与えます。特に海外企業との取引では、契約書の品質がそのまま会社の信頼性として見られることがあります。

最悪の場合、契約上のトラブルが紛争に発展する可能性もゼロではありません。

プロの翻訳会社に依頼するメリット

契約書の翻訳をプロの翻訳会社に依頼するメリットは、以下のとおりです。

  • コストが安定して低い:社内で確認・修正する人件費と時間を考えると、最初から外注したほうがトータルコストは抑えられます。料金も事前に見積もりで確定するため、予算管理がしやすくなります。
  • 契約内容を読み解いてから翻訳:プロの翻訳者は、契約書全体を読み、当事者の関係や契約の構造を把握した上で翻訳します。
  • ネイティブチェック:英訳の場合、ネイティブスピーカーが最終チェックを行うことで、自然で正確な英語になります。
  • 納品後の修正対応:納品後に修正が必要になった場合も、対応してもらえます。

ただし、翻訳会社は法律の専門家ではありません。翻訳会社が行うのは、あくまで言語の変換です。契約内容の法的な妥当性については、日本語の契約書であれ英語の契約書であれ、必要に応じて法律事務所に確認することをおすすめします。

契約書翻訳の料金相場については、「契約書の翻訳料金はいくら?相場と見積もりのポイントを解説」で詳しく解説しています。

当社の契約書翻訳サービス

当社では、契約書の翻訳を以下の料金で承っています。

  • 英訳(日本語→英語):1文字14円
  • 和訳(英語→日本語):1単語15円

ネイティブチェックと納品後の修正対応が含まれており、追加料金はありません。

秘密保持契約書(NDA)、業務委託契約書、フランチャイズ契約書、M&A関連契約書など、さまざまな契約書の翻訳実績があります。

詳しくは契約書翻訳サービスのページをご覧ください。無料でお見積もりいたします。

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契約書の翻訳料金はいくら?相場と見積もりのポイントを解説

契約書の翻訳を外注しようと考えたとき、まず気になるのが料金です。「いくらかかるのか」「相場はどのくらいか」が分からないと、予算も組めません。

この記事では、契約書翻訳の料金相場と、見積もりを取る際に確認すべきポイントを解説します。

契約書翻訳の料金相場

契約書翻訳の料金は、一般的に文字単価または単語単価で計算されます。

日本語から英語への翻訳(英訳)の場合は1文字あたりの単価、英語から日本語への翻訳(和訳)の場合は1単語あたりの単価で計算するのが一般的です。

相場としては、英訳が1文字あたり10〜20円程度、和訳が1単語あたり10〜25円程度です。ただし、契約書の種類や専門性、翻訳会社によって幅があります。

料金に影響する要素

契約書翻訳の料金は、以下の要素によって変動します。

分量(文字数・単語数)

当然ながら、分量が多ければ料金は高くなります。見積もりを依頼する際は、原文のページ数だけでなく、おおよその文字数・単語数を把握しておくと、より正確な見積もりが得られます。

契約書の種類・専門性

契約書の内容によって、翻訳の難易度が変わります。たとえば、一般的な秘密保持契約書(NDA)と、特許ライセンス契約書や金融関連の契約書では、求められる専門知識が異なります。専門性が高い契約書は、単価が上がる場合があります。

納期

急ぎの案件には特急料金が発生することがあります。余裕を持ったスケジュールで依頼することで、通常料金で対応してもらえます。

ネイティブチェックの有無

翻訳後にネイティブスピーカーがチェックする工程を含むかどうかで、料金が変わる場合があります。契約書のように正確性が求められる文書では、ネイティブチェックを含むサービスを選ぶことをおすすめします。

見積もりを取る際のポイント

契約書翻訳の見積もりを依頼する際は、以下の点を確認しましょう。

原文を送って正確な見積もりを

「A4で5ページくらい」といった概算ではなく、実際の原文ファイルを送ることで、正確な見積もりが得られます。契約書の内容によって難易度が異なるため、原文を確認してもらうことが重要です。

追加料金の有無

見積もり金額に何が含まれているかを確認しましょう。ネイティブチェック、納品後の修正対応、ファイル形式の変換などが別料金になる場合があります。

守秘義務の確認

契約書には機密情報が含まれることが多いため、翻訳会社が守秘義務を徹底しているかを確認しましょう。必要に応じて、秘密保持契約(NDA)を締結することも検討してください。

AI翻訳ではダメなのか?

最近はChatGPTやClaudeなどの生成AI、DeepLなどのAI翻訳ツールが普及し、自社でAI翻訳するという選択肢も出てきました。AI翻訳なら無料または低コストで利用できます。

しかし、契約書のAI翻訳には大きなリスクがあります。法律用語の誤訳、文脈の取り違え、用語の不統一など、契約書として致命的な問題が生じる可能性があります。詳しくは「契約書をAIで翻訳するリスクとは?」で解説しています。

結局、社内担当者が確認・修正する時間と人件費を考えると、最初からプロに依頼したほうがコストは安定して低く、内容もしっかりしたものが得られます。

当社の契約書翻訳サービス

当社では、契約書の翻訳を以下の料金で承っています。

  • 英訳(日本語→英語):1文字14円
  • 和訳(英語→日本語):1単語15円

この料金には、ネイティブチェックと納品後の修正対応が含まれています。追加料金はありません。

秘密保持契約書(NDA)、業務委託契約書、ライセンス契約書、売買契約書など、さまざまな契約書の翻訳実績があります。

詳しくは契約書翻訳サービスのページをご覧ください。無料でお見積もりいたします。

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登記簿の英訳、どこに頼む?翻訳会社・行政書士・自分での違いを比較

登記簿謄本の英訳が必要になったとき、「どこに頼めばいいの?」と迷う方は多いです。

選択肢は大きく分けて3つあります。

  • 翻訳会社に依頼する
  • 行政書士に依頼する
  • 自分で翻訳する

それぞれメリット・デメリットがありますので、提出先の要件や予算に応じて選びましょう。

選択肢①:翻訳会社に依頼する

メリット

  • 翻訳品質が安定している:登記簿特有の専門用語に慣れている
  • 翻訳証明書がつく:海外提出時に求められることが多い
  • 公証の相談もできる:翻訳後の手続きについてアドバイスをもらえる

デメリット

  • 費用がかかる(数千円〜数万円)

向いている人

海外の銀行や政府機関に提出する場合など、ミスが許されない公式書類を準備する方におすすめです。

選択肢②:行政書士に依頼する

メリット

  • ワンストップで対応してもらえる:翻訳から公証・アポスティーユ取得まで一括で依頼できる
  • 手続きに詳しい:書類の準備や申請を代行してもらえる

デメリット

  • 翻訳品質は事務所によってばらつきがある
  • 費用が高めの傾向(手続き代行費用が含まれるため)

向いている人

翻訳から公証・アポスティーユまで全部お任せしたいという方に向いています。
自分で手続きする時間がない場合に便利です。

選択肢③:自分で翻訳する

メリット

  • 費用がかからない

デメリット

  • 専門用語の訳し間違いリスク:登記簿には独特の法律用語が多い
  • 翻訳証明書がない:提出先によっては受理されない可能性
  • 公証が通らない可能性:翻訳内容に問題があると公証役場で指摘されることも

要注意:第三者翻訳が求められるケースがある

渡航先の国や提出先によっては、「本人以外の第三者(翻訳会社など)による翻訳」が条件になっている場合があります。

この場合、せっかく自分で翻訳しても受理されません。
事前に提出先の要件を必ず確認してください。

向いている人

社内での参考資料として使う場合など、公式に提出する必要がない場合に限られます。

比較表

翻訳会社 行政書士 自分で
費用 数千円〜数万円 やや高め 無料
翻訳品質 ◎ 安定 ○ 事務所による △ リスクあり
翻訳証明書 ◎ あり ○ 事務所による ✕ なし
公証対応 ○ 相談可 ◎ 代行可 △ 自分で手続き
第三者翻訳の要件 ◎ 満たす ◎ 満たす ✕ 満たさない

迷ったら、まずご相談ください

どこに頼むべきかは、提出先の要件によって決まります。

  • 翻訳証明書は必要か?
  • 公証やアポスティーユは必要か?
  • 第三者翻訳が条件になっていないか?

これらがわかれば、最適な方法が見えてきます。

登記簿謄本の英訳サービス

当社では、登記簿謄本・履歴事項全部証明書の英訳を承っています。
翻訳証明書付き。公証やアポスティーユに関するご相談も対応しています。

登記簿謄本の英訳サービス 詳細・料金

カテゴリー: 登記簿謄本・履歴事項全部証明書 |

アポスティーユとは?必要な国・不要な国をわかりやすく解説

登記簿の英訳を海外に提出する際、「アポスティーユが必要」と言われることがあります。
聞き慣れない言葉ですが、簡単に言えば「この書類は日本の公的機関が認めたものです」と海外向けに証明する制度です。

アポスティーユが必要かどうかは、提出先の国によって異なります。
この記事では、アポスティーユの仕組みと、必要な国・不要な国について解説します。

公証とアポスティーユの違い

まず、よく混同される「公証」と「アポスティーユ」の違いを整理しておきましょう。
ざっくり言うと、どこのハンコをもらうかの違いです。

  • 公証 = 法務省のハンコ(公証役場 → 法務局)
  • アポスティーユ = 外務省のハンコ

公証だけでOKな国もあれば、その上にアポスティーユまで必要な国もあります。
提出先の要件に応じて、どこまで取得するかが変わります。

アポスティーユとは

アポスティーユは、1961年に締結されたハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)に基づく国際的な認証制度です。

従来、海外に書類を提出する際は、外務省の認証に加えて相手国の領事認証も必要でした。
しかしハーグ条約の加盟国同士であれば、アポスティーユがあれば領事認証が不要になります。

取得の流れ

登記簿の英訳にアポスティーユを付ける場合、一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 登記簿謄本を英訳する
  2. 公証役場で公証を受ける
  3. 法務局で認証を受ける
  4. 外務省でアポスティーユを取得する

手続きは少し手間がかかりますが、当社では公証役場での手続きについてもご相談いただけます。

アポスティーユが必要な国(ハーグ条約加盟国)

ハーグ条約に加盟している国に書類を提出する場合、アポスティーユを求められることがあります。

主な加盟国

  • アメリカ
  • イギリス
  • ドイツ
  • フランス
  • オーストラリア
  • 韓国
  • シンガポール
  • オランダ
  • イタリア
  • スペイン

加盟国は120カ国以上あります。最新の一覧は外務省のホームページでご確認ください。

アポスティーユが不要な国(非加盟国)

ハーグ条約に加盟していない国に提出する場合、アポスティーユは使えません。
代わりに、領事認証が必要になるケースがあります。

主な非加盟国

  • 中国
  • カナダ
  • UAE(アラブ首長国連邦)
  • ベトナム
  • インドネシア
  • タイ

領事認証は、駐日大使館や領事館で手続きを行います。
アポスティーユより手間がかかることが多いため、スケジュールに余裕を持って準備しましょう。

結局どうすればいい?

アポスティーユが必要かどうかは、提出先に直接確認するのが確実です。

「登記簿の英訳を提出したいのですが、アポスティーユは必要ですか?」と聞けば、教えてもらえます。

もし要件がよくわからない場合は、翻訳会社に相談するのも一つの方法です。
当社でも、公証やアポスティーユに関するご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

登記簿謄本の英訳サービス 詳細・料金

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登記簿謄本、履歴事項全部証明書、現在事項全部証明書。結局どう違うのか

海外進出の手続きで「登記簿謄本の英訳が必要」と言われた。法務局のサイトを見ると、「履歴事項全部証明書」「現在事項全部証明書」という言葉が出てくる。登記簿謄本とは違うのか。どれを取ればいいのか。

この混乱は、非常によくある。登記簿に馴染みのない人にとって、これらの用語の関係を理解するのは難しい。

結論から言えば、登記簿謄本と履歴事項全部証明書は、実質的に同じものだ。そして、現在事項全部証明書は、そこから「現在有効な情報だけ」を抜き出したものだ。

この関係を理解しておくと、海外提出書類の準備がぐっと楽になる。

登記簿とは何か

まず、「登記簿」という言葉の意味を確認しよう。

登記簿とは、法務局が管理している会社情報のデータベースだ。会社の商号、本店所在地、役員、資本金など、法律で登記が義務づけられている事項が記録されている。

かつては紙の帳簿だったが、現在はコンピュータで管理されている。この登記簿そのものは法務局にあり、一般の人が直接見ることはできない。

では、私たちが「登記簿謄本」と呼んでいるものは何か。

登記簿謄本とは「登記簿の写し」

「謄本」とは、原本の内容を全部写したもの、という意味だ。

つまり、登記簿謄本とは、法務局にある登記簿の内容を写した書類のことだ。

ただし、「登記簿謄本」という名称は、紙の帳簿だった時代の呼び方だ。コンピュータ化された現在、正式名称は「登記事項証明書」に変わっている。

しかし、実務では今でも「登記簿謄本」という言葉が広く使われている。「登記簿謄本を取ってきて」と言われたら、法務局で「登記事項証明書」を請求すればよい。

登記事項証明書の種類

登記事項証明書には、いくつかの種類がある。主なものは以下の通りだ。

履歴事項全部証明書

現在有効な登記事項に加えて、一定期間(おおむね3年分)の変更履歴が記載されている。過去に誰が役員だったか、本店がどこにあったか、といった情報が分かる。

現在事項全部証明書

現在有効な登記事項のみが記載されている。過去の履歴は含まれない。

閉鎖事項証明書

履歴事項全部証明書にも載らないほど古い情報、または会社が移転・合併などで閉鎖された登記簿の情報が記載されている。

代表者事項証明書

代表者(代表取締役など)に関する事項のみが記載されている。

登記簿謄本=履歴事項全部証明書

ここで重要なポイントがある。

一般に「登記簿謄本」と言ったとき、多くの場合は履歴事項全部証明書を指す。

なぜなら、履歴事項全部証明書が最も情報量が多く、「登記簿の写し」として最も網羅的だからだ。現在の情報も、過去の履歴も、両方含まれている。

つまり、こう考えてよい。

  • 登記簿謄本 ≒ 履歴事項全部証明書(現在+履歴)
  • 現在事項全部証明書 = 登記簿から現在有効な情報だけを抽出したもの

履歴事項全部証明書は、現在事項全部証明書の内容を「含んでいる」。だから、どちらを取るか迷ったら、履歴事項全部証明書を取っておけば間違いない。

海外提出で「どちらを求められているか」

海外の銀行口座開設、現地法人設立、ビザ申請などで「登記簿謄本の英訳」を求められることがある。

このとき、提出先が求めているのは「履歴事項」なのか「現在事項」なのかを確認することが重要だ。

「履歴事項」を求められている場合

「Certificate of All Historical Matters」「with history」「full extract」などの表現があれば、履歴事項全部証明書を用意する。会社の変遷を確認したい、という意図がある。

「現在事項のみ」を求められている場合

「current matters only」「現在事項のみ」などの指定があれば、現在事項全部証明書でよい。今の状態だけ分かればいい、という場合だ。

指定がない場合

指定がなければ、履歴事項全部証明書を用意するのが無難だ。現在事項も含まれているので、情報が足りないということはない。

よくある混乱と対処法

海外提出の実務で、以下のような混乱がよく起きる。

混乱1:「登記簿謄本」と言われたが、法務局の窓口に「登記簿謄本」という書類がない

→ 「履歴事項全部証明書」を請求すればよい。これが実質的な「登記簿謄本」だ。

混乱2:履歴事項と現在事項、どちらを取ればいいか分からない

→ 迷ったら履歴事項全部証明書。現在事項も含まれているので、情報不足にはならない。

混乱3:提出先から「履歴事項」を指定されているのに、現在事項を出してしまった

→ 差し戻しになる可能性が高い。提出前に必ず確認する。

混乱4:英訳を依頼するとき、どの証明書を渡せばいいか分からない

→ 翻訳会社に「海外の〇〇に提出する」と伝え、どちらが適切か相談するのも手だ。

図で整理する

登記簿と各種証明書の関係を図で整理すると、以下のようになる。

登記簿関係図

履歴事項全部証明書は現在事項全部証明書を「含んでいる」。だから、履歴事項を取れば、現在事項も自動的に手に入る。

まとめると

登記簿謄本、履歴事項全部証明書、現在事項全部証明書。名前が違うので別物に見えるが、関係は単純だ。

  • 登記簿 = 法務局にある会社情報のデータベース
  • 登記簿謄本(登記事項証明書) = 登記簿の写し
  • 履歴事項全部証明書 = 現在の情報+過去の履歴を含む証明書(=一般的な「登記簿謄本」)
  • 現在事項全部証明書 = 現在の情報のみを抽出した証明書

海外提出で「登記簿謄本」を求められたら、まず履歴事項全部証明書を取得する。提出先から「現在事項のみ」と指定されていれば、現在事項全部証明書に切り替える。

この関係を理解しておけば、海外進出の書類準備で迷うことが減るはずだ。

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「全面保護メガネ」、英語でどう訳す?—SDS翻訳でよくある落とし穴

SDSを翻訳していると、保護具の欄で「全面保護メガネ」という表現に出くわすことがあります。

これ、日本語としては何となく通じるんですが、いざ英語にしようとすると困るんですよね。「全面」って、いったい何が「全面」なのか。

ゴーグルみたいに目の周りを密閉するタイプなのか、サイドシールド付きの保護メガネなのか、それとも顔全体を覆うフェイスシールドのことなのか——原文だけでは判断がつかないケースがほとんどです。

ここを曖昧なまま訳してしまうと、英語側のPPE要求が実態より厳しくなったり、逆に緩くなったりして、現場の運用に影響が出かねません。

英語は「形状」で言い分ける

日本語の「全面保護メガネ」は便利な表現ですが、英語圏では保護具を形状や防護範囲で細かく区別します。ざっくり整理するとこんな感じです。

ゴーグル系(目の周囲まで覆うタイプ)

  • safety goggles
  • fully enclosed safety goggles / full-coverage safety goggles
  • 液体飛沫を想定するなら:chemical splash goggles
  • 換気構造まで言及するなら:indirect-vented goggles(間接換気型)

「全面=目の周りをしっかり覆う」という意図なら、chemical splash gogglesfully enclosed safety goggles あたりが無難です。

保護メガネ系(側面をカバーするタイプ)

  • safety glasses with side shields
  • safety spectacles with side protection

密閉ではないけど横からの飛来物も防ぐ、という意味ならこちら。

顔全体を覆うタイプ(フェイスシールド)

  • face shield
  • 併用を明記する場合:face shield worn over safety goggles/glasses

ここで注意したいのは、「全面」という日本語に引きずられて安易に face shield と訳してしまうパターン。原文が「目の保護」を指しているだけなのに、顔面保護まで求めてしまうと、要求が過剰になります。

英訳の早見表

日本語の意図 英語表現 備考
目の周囲を密閉 safety goggles / fully enclosed safety goggles 最も一般的なゴーグル
液体飛沫対策 chemical splash goggles 飛沫リスク明記時に
側面もカバー(密閉ではない) safety glasses with side shields サイドシールド付き
顔全体を覆う face shield ※安易に使わない
判断つかない場合 full-coverage eye protection (goggles or glasses with side shields) 包括表現で逃がす

現物が分からないとき、どう書くか

実務では、お客様から預かったSDSの原文だけ見ていて、実際にどんな保護具を想定しているのか特定できないことが普通にあります。

こういうとき、英語側で勝手に決め打ちするのはリスクがあるので、両方あり得ることを示して逃がす書き方がおすすめです。

無難な包括表現

full-coverage eye protection (safety goggles or safety glasses with side shields)

「全面保護」を full-coverage で受けつつ、括弧内でゴーグルとサイドシールド付き眼鏡の両方を許容する形です。SDSのPPE指示として読んでも違和感がありません。

指示文として使うなら

Wear full-coverage eye protection (safety goggles or safety glasses with side shields).

飛沫リスクが明記されている場合は、もう少し踏み込んで:

Wear chemical splash goggles where splashing is possible.

避けたい英語表現

  • full-face safety glasses
  • full-face goggles

この辺の表現は「顔面全体」を連想させやすく、face shield の領域に踏み込んでしまいがちです。「全面」を直訳して “full-face” にしてしまうのは、現場で混乱を招く典型的なミスなので気をつけてください。

SDSのどこに出てくる?

保護メガネやゴーグルなどのPPE指定は、基本的にSection 8(ばく露防止及び保護措置)にまとまっています。

Section 8: Exposure controls/personal protection

もちろん、Section 7(取扱い・保管)や Section 4(応急措置)に補足的に出てくることもありますが、PPEの本丸は Section 8 と覚えておけば間違いありません。

実務での判断フロー

「全面保護メガネ」を見たら、私はだいたいこんな順番で考えています。

  1. 場所を確認 — PPE欄(Section 8)の記載か?
  2. 飛沫リスクの有無 — 「飛沫」「スプラッシュ」「ミスト」などの記載があるか?
    • あれば → chemical splash goggles 寄せ
  3. 規格や形状の手がかり — 「密閉型」「間接換気」「サイドシールド」などの記載がないか探す
  4. 手がかりなしfull-coverage eye protection (goggles or glasses with side shields) で断定を避ける

もし実際に見ているSDSで「全面保護メガネ」が出ている箇所があれば、その一文だけ貼っていただければ、文脈に合わせた訳案を考えます。

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