海外の企業や研究機関へ行くための推薦状。
お客様からお預かりする原文、つまりお客様の上司がつくった日本語の推薦状を見ると、部下と親しい間柄であることを表す文言が登場することがある。
たとえばこんな一文だ。
鈴木君とは長く同じチームで職務を行ってきましたので、オフィスでの彼の姿も、夜の飲み会の席でも、私は彼のことを良く知っています。
今回取り上げたいのは、飲み会の席という言葉。
これを、そのまんま英語に翻訳すると、
drinking party
これでは単なるパーティー好きの人になってしまう。
「飲み会」という言葉は日本語的表現なのである。
日本では、
複数人の仲間で居酒屋さんで「おつかれー、かんぱーい!」という、文字通りお酒を飲む機会と捉える場合もあれば、少し広く捉えれば、「晩御飯を一緒に食べる」という意味も持っているように感じる。
上記の例を文脈判断で見ると、決してベロベロに酔っ払っている類の話ではなく、「仕事が終わったあと、ご飯を一緒に食べに行く」という趣旨に受け止めることができるだろう。
だから英語で表現する場合は、少し解釈を変更する必要がある。もちろん、自分(あなた)に好意的な解釈で。
たとえば、
クライアントの接待 to entertaining clients
→ビジネスシーンっぽく聞こえてよい。
食事をしながら明日の打ち合わせ
→あくまで食事は補助的なもので、打ち合わせがメイン。
部員(課員)とのコミュニケーションを図るための食事会
→マネジメントの一環として捉えることができる。
この辺が原文から離れすぎない表現だろうと思う。
考慮したほうがいい表現がある場合は、そのまんまの意味で英語に翻訳するのではなく、まずは日本語をどう解釈するか、そこから考えることが必要だ。
余談ではあるが、推薦状はその名のとおり上司やその世界で名のある方からいただくものだが、実際には、推薦を受ける方が自分でつくって、それを推薦してくれる方に見せてOKをもらうというのもよくある。
そういった方も結構多いのだ。