読点の位置で意味は変わる(契約書やNDAでも役立つ)

ウェブサイトの新着ページなどで、短い文章で情報を伝えるということが、しばしばあります。そのウェブサイト文章(日本語)を英語に翻訳する際、原文である日本語を正しく理解する必要があります。

押さえるべきポイントは複数ありますが、興味深いのは、読点(、)の位置ひとつで意味がかなり変わってしまうという点です。

読点の有無で意味が変わる例

たとえば、下記の一文。

当社は、東京都千代田区に所在する電子部品メーカー『シマタニ電子工業』と『シマタニ・河合テクニカル』を共同設立しました。

※社名は架空です。

シマタニ電子工業は、どこに所在していますか?
答えは、「東京都千代田区」です。

シマタニ・河合テクニカルは、どこに所在していますか?
答えは、「わからない」です。

これらが正しい理解です。いっぽう、下記の一文はどうでしょうか。

当社は、東京都千代田区に所在する電子部品メーカー『シマタニ電子工業』と『シマタニ・河合テクニカル』を共同設立しました。

これだと、シマタニ電子工業の所在地は「東京都千代田区」とも取れますし、「わからない」とも取れます。シマタニ・河合テクニカルも同様です。

つまり、「東京都千代田区に所在する」のあとに読点(、)が入っていることによって、この修飾語が『シマタニ電子工業』につながっているのか、『シマタニ・河合テクニカル』につながっているのかが、分からなくなるわけです。

読点(、)ひとつの違いでこれだけ意味が変わってしまうんです。

実際の翻訳では、事前に、または事後的に、依頼者様の背景や共同設立した法人について細かにお伺いしますので、どちらの所在地なのかが分かります。ただ、上記の一文だけですと、なかなか判断に迷ってしまいますね。

契約書・NDAではより重要

パッと見、間違えてしまいそうなこの違い。実は、この手のちょっとした表現の違いで意味が変わる捉え方は、各種の契約書や約款、NDA(秘密保持契約)などの書面では、より重要性が高くなります。よくよく読んでおかないと、あとで「あれ?!思っていたのと違う」というふうになりかねません。

よくあるのが、以下のような表現です。

A、その他BC
→ Aがひとつのグループで、BCがもうひとつのグループ

Aその他BC
→ AもBもCも同じひとつのグループ

AとB
→ 前後の文脈を見ないと、AとB両方なのか、AかBどちらかなのかが分からない

なかなか難しいですね。

余談:語順を変えると明確になる

最後に、余談ですが、これだとどうでしょう?

東京都千代田区に所在する当社は、電子部品メーカー「シマタニ電子工業」と「シマタニ・河合テクニカル」を共同設立しました。

東京都千代田区に所在しているのは、どの会社ですか?
はい、カンタンですね。答えは「当社」です。

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